正邪ちゃんフィギュアを作ってみる
しばらく間隔が開きましたが、久しぶりに3Dプリンタで作ってみたレポートです。
記事が長くなりましたので、完成品の展示記事はこちらに分割してあります。
結果だけ知りたい方はそちらの記事をご参照ください。

以前の作成物である試作1号機のデルモちゃん試作2号機のルーミアはそれぞれテーマを確認するつもりで作成しました。
デルモちゃんは、ともかく3Dプリンタでフィギュア的なものを作ってみようという試金石。
ルーミアは、自作データをフィギュアにしてみようというのの初歩部分の理解。
では今回の試作3号機は……ずばり、まだ世にないフィギュアを自分で作ってみるのがテーマです。

さて、未だに世にないものとは。
私が調べた範囲でまだフィギュア化されていない東方キャラは何人か居るのかなぁと思うのですが、
今回は今流行りの弾幕アマノジャクで調子に乗る勢いに乗る正邪ちゃんを立体化してみようという試みです。
さらに、前回の棒立ちルーミアとは違って今回は原作通りのポーズもつけてみましょう!
……と、思い立ってから完成までがまた長かった……

th14_129.jpg
正邪ちゃんのおかしな格好複雑なデザインと変なポーズ独特の姿勢には大変苦労しました。
単にソフトの仕様を理解してなかったりバグ(?)を引いたりという点での苦労が多かったのですが、まぁその辺も含めてノウハウとしてここに記しておこうかなと思う次第です。
なお、全部細かく書いていくと書ききれないので、技術的な面は適宜端折ります。ご了承ください。


では、前置きが長くなりましたが、作成過程を振り返ってみましょう。
まずはデータのモデリングからです。
最終的には正邪ちゃんに例のねじれポーズを取らせるのですが、まずは素立ちでモデルを組みます。

20140610_02.jpg
ここまでは前回と同じですね。
注意したのは前回のモデルで平面的になりすぎた顔の形状の調整と、
後々の事を考えてモデリングと同時にスカートとスカーフの模様に凹凸をつけておいたことくらいです。
次に、これにポーズを取らせます。
ポーズを取らせるために、metasequoiaのプラグインであるKeynoteを使います。
プラグインなので未登録のmetasequoiaでは使えませんが……試してみたい方は試用版などをお試しください。

20140610_03.jpg
さて、Keynoteとはどういうプラグインかというと、作成したモデルにボーンアニメーションを仕込むことが出来ます。
ボーンアニメーションと言われてピンと来ない方は……そうですね、今風に言えばMMDみたいなものです。たぶん。
モデルに骨格データを仕込んでやることで、骨に従った動きを与えることが出来ます。
人物用のボーンデータを作成するにはコツが要るのですが、今回はこちらのボーン/アンカーキットを今回のモデルに合うように修正して利用させていただきました。
上記のスクリーンショットはそれを適用した後のもので、それぞれの骨の影響範囲が色分けされて表示されてる……みたいな感じです。
で、これをKeynoteに適用すると……

20140610_04.jpg
こんな感じで、好きなポーズを先ほどのモデルに適用できるようになります。
これを使って、正邪ちゃんに例のポーズを取らせます。
あ、ここで注意ですが、Keynoteは32bitのmetasequoia本体でしか動作しません。
私はこれに気づかず無駄に数十分……

20140610_05.jpg
ようやくポーズが取れました!
ではこれを、3Dプリント用のソフトに読み込ませると……実は、うまく印刷できません。
理由は、このデータは飽くまで画面上のCGデータであって、3Dプリント用に作られたデータではないからです。
言い換えると、表示はできてるけど実空間では存在できない形状になっている部分があります。
具体的には、面の反転、面の交差、閉じられていない空間……などなど。
ある程度は3Dプリントソフトが補正してくれるようですが、限界を超えると破綻してしまいます。

20140610_06.jpg
先ほどのデータを、3Dプリンタ用のデータ検証ソフトMiniMagicsにかけてみました。
結構な数のエラーが出てしまっているのがわかります。
これらを手動で修正すれば勿論良いのですが、かなりの手間がかかります。
……というか、ぶっちゃけ不可能に近い手間がかかる可能性もあります。
そこで、今回は裏技(強引な技)を使って突破を試みます。

20140610_07.jpg
MeshLabというソフトを使って、メッシュデータをボクセル化して面を貼り直します。
ボクセルというのは……説明すると長くなるのでここでは割愛します。
というか、この一連の処理に関しても長くなりますので、説明はこちらのサイトに丸投げします。
ともかく、この処理を使うと3Dプリント用にデータを再処理することができると思ってください。
注意点としては、力業なので設定値によっては処理に数十分以上かかる場合があるということと、blenderの代わりにmetasequoiaを使う場合には64bitじゃないとほぼ確実に処理が溢れるということです。
ここら辺でも私はハマってしまい無駄に数時間……

さてさてさて、ようやくデータも完成しました。
パラメータの調整一つで結果が微妙にアレでソレなことになったりもするんですが、完成したとします!
完成したデータを3Dプリンタソフトウェアに導入して、データを印刷用に変換!
20140525_05.jpg
処理に時間がかかりますが気長に待ちます。
待ちに待つこと、2時間後!
20140527_01.jpg


なんでやねん


ここらですっかり私も頭を抱えまして色々と試行錯誤しました。
先ほどまでの手順を何回も繰り返してみたり、データの作成方法を変えたり、オブジェクトの配置を変えたり……
先ほどのスクリーンショットで正邪が逆さまになってるのも実はその名残だったりします。

……で、結果的にある確信に近い疑問を胸に抱き、最終的にはプリンタのサポートにメールしてみました。
そのお返事によると、どうやら現状のこの3Dプリンタの印刷用ソフトウェアには、バグ(か仕様)により、
配置によっては印刷できない状態というものが存在するようです。
そのため、正邪ちゃんを「立った状態」で印刷しようとしていた私はすっかりハマってしまったというわけです。

しかし、タネがわかれば後はなんとか。
立ってダメなら、横に寝かせて印刷すればいいというわけになります。
顔を上向きにすれば綺麗に印刷できるというお話も聞いていましたので、それを参考に顔を上向きにして配置します。

ここら辺とかトータルすると無駄に十数時間……
いやはやともかく、今回の試作3号機は本当に難産でした。
しかし、ついに印刷用のデータも完成しました。
後は印刷すれば、前回のルーミアと同様に完成させられるはずです。

では、長く辛い道のりを越えていよいよの印刷、スタートです!


~約1時間後~

KIMG1244.jpg

どうしてこうなった

印刷中に異音がしたので緊急停止したのですが、見ての通り一部が砕けてしまいました。
どうやら、印刷データを生成するのは成功しても、印刷に成功するかは別問題のようです。
顔を上向きにするのに執心して、全体が不安定な配置で印刷を試したのが良くなかったようですので……

20140610_08.jpg
今度は全体が安定する方向に寝かせて印刷します。
そして今度こそ2度目の正直のつもりで印刷開始!


~11時間後~
はい、いや、マジで出力に10時間くらいかかるんです。
とても待ちきれないので外出しましたが、今回の全高13cm程度の出力にそれくらいかかるんです。
精度を高めるために印刷速度を遅くしたせいもありますけれども……

KIMG1247.jpg
さておき、なんとか印刷は成功しているようです。
ただ、よく見ると何故か大きな段差が発生してしまっている部分があります。
とは言え仕方ないので台から剥がして、サポート材を除去していきます。

KIMG1253.jpg
おおよそ形状は出力されていますが、やはり複雑な形状ゆえでしょうか。
全体的にガサガサとした出力結果なのと、あと、左腕の先がどっか行ってしまいました。
KIMG1249.jpg
左腕がないとかあかん、正邪ちゃんが華扇ちゃんもどきになってまう……!
ま、まぁ、左腕はあとでどうにかするとして。

とりあえず全体的に表面処理をやっていきます。
アセトンで段差を溶かして、紙ヤスリかけて、デザインナイフで削って……
そうそう、デザインナイフ。今回活躍したのがこのデザインナイフでした。
というのも、やはり複雑形状ゆえか先ほどのような意図しない段差ができてしまったためです。
仕方ないのでガンガン削っていきます。

KIMG1274.jpg
失くした腕パーツも3D出力しなおして、ナイフで削って整えて接着剤でくっつけます。
ぱっと見、違和感なく修復出来ました。

削って、磨いて、溶かす。その繰り返しです……
が、ちょっと元の出力状態が良くなかったのと形状複雑すぎで少々妥協してしまいました。
結果的に、完成品のクオリティがちょっと下がってしまいました。ちょっと後悔。

ある程度表面を整えたら溶きパテを塗って、再度表面を整えて。
そしていよいよ着色して……
KIMG1276.jpg

最後にトップコート吹き付けて完成となります。
ということで、長くなりましたので完成品はこちらの別記事に展示しました。

今回の正邪ちゃんフィギュアは本当に制作に苦労しました。
ただ、これで得られた知見は次以降の作成に必ず役に立つものばかりだなぁと痛感しています。
言い換えれば、次以降の作品は、もっとクオリティアップできそうだなぁと。

次の目標は、市販品……とまでは行かないものの、もっとモデリングと出力の精度を高めることでしょうか。
そのためには、パーツ分割も検討したほうが良いかもしれません。
その辺も独学なので、もっと本とか読んで研究してもいいかもですね。
……まぁ、まだまだ先は長いという感じです。

ともあれ、今回の出力プロジェクトもここまでとなります。
今回は特に試行錯誤の愚痴を書いたような内容ではありましたが……
それでもここまでお読みいただいて、本当にありがとうございました!
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【2014/06/10 15:43】 | 3Dプリンタ | トラックバック(0) | コメント(0)
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同人サークル『時遊戯画』の日記代わりのブログです。 主に創作した作品の発表・お知らせや日々のよしなしごとなど。

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Author:漂流いかだ(KOR)
同人サークル「時遊戯画」主宰。
東方シリーズの二次創作を舞台に活動中。
SSとか音とか絵とか中途半端に節操なく。

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